ピックアップメンターvol.12 岩崎 真紗美さん

岩崎 真紗美さん(メンターID:5000157)

PROFILE

焼津市にあるこんにゃく専門店の四代目跡取り娘です。当店は創業昭和2年、現在は、私の母である三代目の女性職人が手作り製法のこんにゃくを製造販売しています。私は、前職で番組ディレクターとして企画、情報発信のキャリアを積んできました。その経験を活かして、新たなこんにゃく商品の開発や、女性の感性を活かした新たな販売戦略の構築に取り組んでいきたいと思っています。

どういった経緯で家業を継ぐ決断をされたのですか。

小さい頃から蒟蒻を通して地域を盛り上げる家族の姿を見てきて、生まれ育ったまちを元気にさせる仕事につきたいと思い、大学卒業後11年間は県内のローカル放送局にて、情報番組のディレクターをしていました。転機が訪れたのは2015年。お笑い芸人を連れて行ったアポ無しロケで、焼津市内の商店街を取材していた時、予期せず実家の蒟蒻店へ取材に行くことになってしまったのです。恥ずかしながら、この時初めて、90年以上の歴史があることや、大手メーカーとは違う独自の製法があること、地域に残されているこんにゃく店が少ないことなど、いろいろな母の想いを知りました。自分は一人娘なので、これまで代々受け継いできた伝統や母の想いは、私が継がなかったら途絶えてしまう。自分自身が地域に根差して、伝統を受け継いでいきたいと思うようになりました。そこで、思い切ってテレビの仕事を辞め、家業を継ぐ決心をしました。

準備期間としてB-nest(ビネスト)で働かれたそうですね。家業を継ぐ前にした経験で現在活かされていることはありますか。また逆に苦労したこともあれば教えてください。

跡継ぎとなる決意はしたものの、経営やマーケティングの知識に乏しく、いきなり家業に入るのは無謀だなと思いました。そこで、たまたま求人が出ていたB-nest(静岡市産学交流センター)で1年3カ月働かせていただきました。実際に、セミナーの企画をする中で経営者になるための準備期間としては大変有意義な経験をさせていただきました。何より、一番大きな財産は行政、民間企業、起業家、経営者など、日ごろ出会えないような幅広い分野の第一線で活躍されている方々とのネットワークを構築できたことです。ここでの人脈は、現在も大いに活かされています。

御自身の事業の今後の展開や目標はなんですか。

現在は、BtoB(企業相手の商売)の取引が半数以上を占めており、業務用の卸売が中心となっています。しかし大量生産をベースとする業務用の下請け的な仕事を続けていくことに疑問を感じ、現在ビジネスモデルの再構築を始めています。当店の一番の売りは「バタ練り」という昔ながらの手作り製法です。また当店は女性職人のみで、これは男性主体のこんにゃく業界において大変珍しく、普段調理や家事に従事している女性たちの感性を生かしたユーザー視点の商品開発が可能です。このような当店独自の強みを活かしたブランド商品を今後開発していきたいと思っています。お客様に直接販売することができる直売機能の強化も計画中です。

さらに、私と同じように和食の伝統食材を扱う、焼津の練り物屋さん、島田の海産物屋さんと3社共同で「シズオカポトフ」という新たなローカルフードの開発にも取り組んでいます。

岩崎さんにとってのメンター・ロールモデルは誰ですか?

私のロールモデルは、母です。店を経営しながら、女手一つで私を育ててくれました。還暦を迎えた現在も、女性こんにゃく職人として第一線で活躍しています。母が若いころは、今と違って女性が社会進出することが当たり前でない時代でした。しかし、そんな逆境の中でも自分の信念を貫き、肉体的にも過酷な製造業で家業を守り抜いてきた姿は、とても素晴らしく誇りに思えます。さらに、どんなに忙しくても手料理を欠かさず、私を大切に育ててくれたことにも感謝しています。働く女性として、母として、スーパーウーマンが身近にいたので、自然と母の背中を追うようになりました。

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